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11月29日発足記念集会開催!   

2007年 12月 19日

東京環境行政訴訟原告団協議会が結成されました
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いま、日本の都市は、街づくり・公共事業と称し住民と市民の合意のないまま、道路の新設と超高層化が各地で進んでいます。
道路の新設と超高層化により、街の緑と住環境は大きく破壊され、市民が代々にわたり大切に守り育ててきた、歴史と文化が消滅しようとしています。
いま、東京において、公共事業の担い手である行政と高層化の推進者の大手不動産開発業者に対し、街の緑と住環境を守り、歴史と文化を未来に継承するために、多くの人たちが市民運動を基盤として、法廷において行政訴訟を行っています。
2005年12月の〝小田急線連続立体交差事業認可取消し訴訟〝最高裁大法廷判決において、行政訴訟の原告適格が拡大される判決がなされたにもかかわらず、東京地裁法廷にあっては、大法廷判決を真っ向から否定する判断がなされました。
環境の21世紀が叫ばれているなか、東京地裁を始めとする全国の法廷で生まれている時の流れに逆らい行政と大企業を擁護しようとする司法行政の誤りを、糾さなくてはなりません。
私たち原告団は、お互いに協力と連携を強め、お互いの勝利を目指し「東京環境行政訴訟原告団協議会」を結成しました。


協議会の結成には次の6原告団が参加しています。

・小田急高架と街づくりを見直す会
・まもれシモキタ!行政訴訟の会
・梅ケ丘駅前けやきを守る会
・日赤・高層マンションから環境を守る会
・羽沢ガーデンの保全を願う会
・浜田山・三井グランド環境裁判原告団


協議会発足記念集会を開催

11月29日(木)日比谷弁護士会館・クレオにおいて発足記念集会を開催しました。
集会には、各原告団はもとより、それぞれの訴訟の代理人を務めて下さっている弁護士の方々と「都市問題と環境問題」「行政訴訟の在り方」について専門分野から憂慮されている学者の方々、そして全国において共に環境と生活権のために闘っている市民・団体の人々が合わせて約150名が参加しました。
開会の挨拶として、協議会代表の一人である、三井グランド裁判の原告・小山伸二さんが協議会結成の経過と意義について話をされました。


小山代表の挨拶

1.浜田山・三井グランド環境裁判において違法な工事車両通行の認定処分執行停止の申し立てに対し、東京地裁・杉原裁判長は原告適格なしと門前払いの決定を下しました。
小田急裁判大法廷判決を無視するものであり、司法改革の流れに逆行する判断です。
私たちと弁護団は、杉原裁判長の忌避申立てを行い、全国214名の弁護士が「判決強行の撤回を求める意見書」を提出するなど、大きな動きも起こっています。
司法・行政の大きな力に対抗するには、市民も大きな繋がりをもっていかなければならないという共通した思いから、協議会発足となりました。

2.企業は経済至上主義、利益追求を最優先に緑と環境破壊を続けています。
行政にはこれを押し止め、環境保全・改善を図る役割が求められていますが、行政の持つ官業癒着の体質は、大企業の三井グランの大地に大量のコンクリートを流し込むことを擁護しています。

3.21世紀は人間が痛めつけてきた地球を、どう守って行くかが問われています。
原告団が心を一つに立ち上がり、環境を破壊する企業とこれを主導する官僚行政そして彼らに手を貸す司法行政に立ち向かい、次世代のために粘り強く闘って行きましょう。


各原告団から訴訟についての経過と解説を兼ねた挨拶が行われました。
各訴訟の弁護団(代理人)を代表して、斉藤 驍弁護団長の基調報告が行われました。

斉藤 驍弁護団長の基調報告
小田急大法廷の判決はなんだったのか
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1.21世紀は「環境の世紀」と言われているが、地球温暖化に象徴される環境破壊は、20世紀において共に人間の尊厳を疎外した、資本主義経済とソ連型社会主義が生み出したものです。
これを自覚して自己革新をしてゆくには大変なことです。
東京は今日の原告団が話された、都市の環境問題、公共事業と企業の手による再開発で、単に緑が失われるというだけでなく、人間的な街そのものが失われている状況にあります。

2.弁護団は、係争中の三井グランド裁判の杉原裁判長を忌避しました。
小田急裁判の大法廷判決がでるまでは、被害の原因である鉄道・道路・マンションなどを造ることに対し、クレームを言うことができるのは、地権者だけであり、一般住民・市民は、環境被害を争えないというのが裁判所の判断でした。
一昨年、小田急裁判において大法廷は「地権者以外にも事業によって被害を受ける一般住民・市民には裁判を受ける資格(原告適格)がある」という歴史的判断を下しました。
ところが三井グランド裁判を担当している杉原裁判長(小田急裁判・大法廷判決に調査官として関与した人)は、小田急裁判は都市計画法に関する訴訟であり、大法廷判決の効力は、市民の公益を守るものでない他の法律(道路法)には及ばないとして、住民の違法な工事車両通行の認定処分執行停止の申立てを、原告適格なしとして門前払いをしました。
大法廷判決に水を差し、裁判所の門戸を開こうとする時代の流れに逆らう、絶対に許すことのできない決定です。
多くの友人弁護士の方々に支えられ、杉原裁判長の忌避を申し立てました。

3.東京地裁の、大法廷判決に逆らい、役人の裁量行為をチェック・牽制するという司法の役割を放棄する動きに対し、原告の人々と弁護団が車の両輪になってがんばって行きたいと思います。


続いて来賓でご参加下さった、千葉大学工学部教授の福川裕一先生からお話を戴きました。

福川先生のお話
都市計画の抜本的見直しと裁判について

1.21世紀に入れば環境・都市問題は改善されるのではと思っていました。
アメリカ・イギリスにおいては、落ち着いた都市を創る運動がでてきています。
歴史的町並みを保存する数も増えています。
日本でも、大気汚染訴訟に対し和解勧告がでたり、景観法もできたので少しは良くなると思っていましたが、どうも逆の方に向かっているようです。

2.三井・羽沢・日赤はともに緑をつぶして、マンションを造る開発です。
都市の土地の使い方に構造的な変化が現れています。
企業の寮がマンション業者に売られたり、20年前に公共施設を造ろうと考えていた土地が、次々と民間業者に売り渡され巨大な高層マンションが建つ。
みんな大規模開発でとにかく、戸数が入ることのみしか考えていません。
しかも、それが良く売れるという恐ろしい時代になっています。
業者は「開発いたしますが、50%は緑地にします」というが、小奇麗であっても建物の上に緑を貼ったようなもので、勘違いが山のようにあります。
もともとあった緑に戻すべきだと言っても受け入れられません。

3.下北沢も道路拡幅と高度利用を根拠にしているが、それはおかしいです。
街づくりの先達と言われた世田谷でこんなことが起こったのはショックです。
私たちは都市計画や街づくりは、住民のものだ、地方分権、地方自治の中でやって行くべきで、国の関与を断つべきだと言ってきたが、これが逆に働き愕然としました。
正しいことを言うと逆になることがたくさんあります。

4.伝統的な敵は、日本は狭いから高層化すべきだ、車が多いから道路を拡げるという考えです。
それと、いったん決めたら青写真通りに造る、計画通りに造ると碌なものができないというのも、また真実です。
大規模化すれば緑地がとれる、公園をつぶしても高層化すればスペースができると言うのもまやかしです。

5.これらのドグマの根本は、1920年から30年に、これからの20世紀の都市は「オープン緑があって、真ん中に塔」だとされたことで、その思想はいろいろなことで破綻しています。
日本では、この古い思想のまま、大規模開発・高層化が促進されています。

6.ナオミ・クラインが、「理想の世界に近づけないのは、理想がないからだ、エリートはやる気がない。正義を行えば利益を失うけれども、正義を行わなければもっとひどいことになると思った時、正義を行う」と言っています
このことを裁判で追求できたらと思います。

このあと、斉藤弁護団長より、東京大学教授・石川幹子先生をはじめとする、ご支援、ご協力下さる皆さまの紹介がありました。
集会の最後に原告団・梅ヶ丘けやきを守る会の橋本さんが「東京環境行政訴訟原告団協議会・発足記念集会」アピール(別紙の通り)を読み上げ、参加者全員の盛大な拍手でもって採択をして閉会しました。

―以上―

このようにして、皆さまの熱いご支援と暖かいご協力をもちまして「東京環境行政訴訟原告団協議会」は発足することができました。
東京の、日本の環境と文化を破壊する、不動産開発に歯止めをかけること
間違った公共事業を見直す市民運動に、更なるご支援をお願いします。
また、各地で運動を繰り広げている市民運動の皆さん、より豊かな緑とより良い環境のために、共に手を携えて勝利しましょう!

by kangyokyo | 2007-12-19 13:12

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